よるの数だけ 守ってもらった

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本当は避けたい朝練習の光景を横目に校庭を通り過ぎ、下駄箱でローファーと上履きを入れ替える。

少し下がってきていた紺色のハイソックスを整えて教室に向かおうとしたら明るい声に呼び止められた。


「そら、おっはよー」

「ミナ、おはよう。何か良いことあった?」


今日は一段とアッシュカラーの巻き髪が波打つ。


「わかる?わかる?じゃーん!彼氏が記念日にくれたんだ!」


足もとを指差す。かわいいピンクのスニーカー。流行りの短い靴下から覗く白い脚に目がいってしまい、視線を外した。


「良いね、ミナっぽい」

「よねー!ずっと厚底ローファー履いてたけど、うちもそらみたいにスニーカー履いてみたくって!カジュアルってなんだかんだ1番オシャレじゃん」

「……」



脱いだローファーを下駄箱の奥へ力一杯に押し込む。


「ま、ゆうて、そらみたいにシッカリ走れるようなスニーカーは似合わないから別物かもしれないけど」

「むしろ真似したいくらい。かわいいもん」

「ホントに!?ほかの色もあったから今度一緒に買いに行こ〜」

「うん。ミナ、選んでね」

「えーどおしよ。そらだから水色?同じピンク?」

「ピンクはミナカラーでしょ」


ご機嫌な様子のミナに腕を組まれる。

思考を、無理矢理、会話に集中させた。


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