幸せなひとときをきみに〜隠れ御曹司の不器用な溺愛〜

『今夜、会えないか？』

それ以上どんな言葉を紡げばいいのかわからない。

下手な言葉でこれ以上溝を深めたくない。

そもそも俺は仕事以外だと口下手だ。
麻衣は仕事で初顔合わせで一目惚れをした。

それまで付き合って欲しいと言われれば、その時にフリーであれば付き合った。恋人としての役割は果たすが「こんなに清太郎が好きなのにあなたは私のこと愛してる？」と聞かれても返すことができなかた。

だから麻衣と仕事で会うたびに嬉しいとか、楽しいという感情が溢れてくる意味がなかなか飲み込めなかったが、これが彼女たちが口にしていた”好き”という気持ちなんだと気づかされた。


俺なりに頑張って、なんやかんやと食事を誘ったりデートに誘ったりして頑張って付き合うことができた。
言葉が足りないところは麻衣が察してくれて恋人になってくれた。

仕事が忙しくなって麻衣の部屋にいけなくなってからは合鍵を渡したがあの頃から麻衣の様子がおかしくなった。

なにか間違ったんだろうか・・・

それでも、会いたいと言えば会ってくれる

会えば欲しくなり、今は身体で繋ぎ止めているような形になっている、あのカフェに麻衣を連れていって気持ちをきちんと伝えたい。