幸せなひとときをきみに〜隠れ御曹司の不器用な溺愛〜
何でこんな場真面に出くわすかな・・・
男と2人じゃないことには安心したが、この状況は絶対に勘違いされているかも知れない。
上司との会食には違いないが、お嬢様付きだしタクシーに乗せているし。
まったく、麻衣が絡むと俺はうまく立ち回れなくなる。
どう行動をすればいいのか迷っていると、麻衣とたしか麻衣の仲のいい同僚女性が踵を返して歩いていってしまった。
「海棠さんどうしたんですか?」
「いえ、何でもないです行きましょう」
運転手に行き先を伝えて、この後取るべき行動について考えていた。
「海棠さんどうしたんですか?わたしが何かしましたか?」
隣に“御令嬢”がいたことをすっかり忘れていた。
「すみません、ちょっと考え事をしてました」
「よかった、さっき変なことを言ってしまって嫌われてしまったのかと思って、確かに安易に仕事を見たいなんて言ってはいけなかったですよね、そんなふうに注意されたことがなくて、むしろ嬉しかったです」
「俺も言い方がきつかったのは謝ります」
「海棠さんはどんな女性が好みなんですか?」
「素敵なバッグですね、彼からのプレゼントですか?」
彼女は全く違う質問で返されたことに驚いたのか大きめの目が更に大きくなった。
「彼なんていません、これは父に買って貰ったんです」
「そう言えば、大学生四年でしたっけ?就職活動とかは?」
「え?」
さらに混乱していそうな彼女を無視して
「デザインに興味がありそうだったので」
「あっ、わたしはセンスがないから無理ですよ、卒業後は父の会社で少し社会勉強をしながらお料理学校とかフラワーアレンジなどを勉強しようと思って、花嫁修行みたいな感じです」
「へぇ」
「さっきはあんな風に誤魔化したけれど、海棠さんって絶対に独立した方がいいと思います。父は海棠さんの後ろ盾になれるし、わたしも英会話の勉強を頑張って海棠さんをお手伝いしたいです!勿論、栄養面でもしっかりバックアップします」
小首を傾げ指先だけで口元を押さえ明らかに計算だと思われる"可愛い"仕草をしているが、そんなもんに引っかかる男がいるなら見てみたいし、そもそもひとまわり近く歳の離れたおっさん相手に計算がバレないと思っているならそんなバカな女は願い下げだし、解っていてやってるんなら、そんなあざとい女も願い下げだ。
「俺の好みですが」
「えっ」
自分の思ったような答えが返ってこない事に戸惑っているのがわかる
「家庭料理が上手くてそれでいて仕事が出来て自立した女性に惹かれます。ついでに言うと、バッグなんかも自分に合ったものを自分が稼いだ金で買う金銭感覚を持っている人が好きですね」
目が点になるとはこう言う顔なんだろう、完全に固まっている。
「ちなみに嫌いなタイプは親の威を借りて、相手の迷惑を顧みず彼氏まで親におねだりする人ですね」
流石に全てが自分を揶揄していると気付き顔が真っ赤になっていく。
「なっ」
「お客さん、到着しました」
お嬢さんが何かを話し出そうとしたところに被さるように運転手から声がかかった。
グッジョブ運転手さん!
と、心の中で親指を立てる。
「ここで一人降ります」
運転手はかしこまりましたと言って自動ドアを開けた。
さっと降りてドアを押さえながらお嬢さんに下車を促すと、まだ何かを言いだしそうだったので「それではおやすみなさい」と言って頭を下げるとお嬢さんは諦めたのか何も言わず家に入った。
はぁ
大きなため息をついてから再度タクシーに乗り込むと麻衣のマンションの住所を告げた。
男と2人じゃないことには安心したが、この状況は絶対に勘違いされているかも知れない。
上司との会食には違いないが、お嬢様付きだしタクシーに乗せているし。
まったく、麻衣が絡むと俺はうまく立ち回れなくなる。
どう行動をすればいいのか迷っていると、麻衣とたしか麻衣の仲のいい同僚女性が踵を返して歩いていってしまった。
「海棠さんどうしたんですか?」
「いえ、何でもないです行きましょう」
運転手に行き先を伝えて、この後取るべき行動について考えていた。
「海棠さんどうしたんですか?わたしが何かしましたか?」
隣に“御令嬢”がいたことをすっかり忘れていた。
「すみません、ちょっと考え事をしてました」
「よかった、さっき変なことを言ってしまって嫌われてしまったのかと思って、確かに安易に仕事を見たいなんて言ってはいけなかったですよね、そんなふうに注意されたことがなくて、むしろ嬉しかったです」
「俺も言い方がきつかったのは謝ります」
「海棠さんはどんな女性が好みなんですか?」
「素敵なバッグですね、彼からのプレゼントですか?」
彼女は全く違う質問で返されたことに驚いたのか大きめの目が更に大きくなった。
「彼なんていません、これは父に買って貰ったんです」
「そう言えば、大学生四年でしたっけ?就職活動とかは?」
「え?」
さらに混乱していそうな彼女を無視して
「デザインに興味がありそうだったので」
「あっ、わたしはセンスがないから無理ですよ、卒業後は父の会社で少し社会勉強をしながらお料理学校とかフラワーアレンジなどを勉強しようと思って、花嫁修行みたいな感じです」
「へぇ」
「さっきはあんな風に誤魔化したけれど、海棠さんって絶対に独立した方がいいと思います。父は海棠さんの後ろ盾になれるし、わたしも英会話の勉強を頑張って海棠さんをお手伝いしたいです!勿論、栄養面でもしっかりバックアップします」
小首を傾げ指先だけで口元を押さえ明らかに計算だと思われる"可愛い"仕草をしているが、そんなもんに引っかかる男がいるなら見てみたいし、そもそもひとまわり近く歳の離れたおっさん相手に計算がバレないと思っているならそんなバカな女は願い下げだし、解っていてやってるんなら、そんなあざとい女も願い下げだ。
「俺の好みですが」
「えっ」
自分の思ったような答えが返ってこない事に戸惑っているのがわかる
「家庭料理が上手くてそれでいて仕事が出来て自立した女性に惹かれます。ついでに言うと、バッグなんかも自分に合ったものを自分が稼いだ金で買う金銭感覚を持っている人が好きですね」
目が点になるとはこう言う顔なんだろう、完全に固まっている。
「ちなみに嫌いなタイプは親の威を借りて、相手の迷惑を顧みず彼氏まで親におねだりする人ですね」
流石に全てが自分を揶揄していると気付き顔が真っ赤になっていく。
「なっ」
「お客さん、到着しました」
お嬢さんが何かを話し出そうとしたところに被さるように運転手から声がかかった。
グッジョブ運転手さん!
と、心の中で親指を立てる。
「ここで一人降ります」
運転手はかしこまりましたと言って自動ドアを開けた。
さっと降りてドアを押さえながらお嬢さんに下車を促すと、まだ何かを言いだしそうだったので「それではおやすみなさい」と言って頭を下げるとお嬢さんは諦めたのか何も言わず家に入った。
はぁ
大きなため息をついてから再度タクシーに乗り込むと麻衣のマンションの住所を告げた。