幸せなひとときをきみに〜隠れ御曹司の不器用な溺愛〜
抱えている仕事をしながら、社内コンペのネットカフェの構想を考えていると、部長が神妙な顔で話しかけてくる。
「この間は悪かったな、ところでお嬢さんはどうだった?」

まだ、社長から話はいっていないのか

「その件については、社長に報告してあります」

「社長からは厳重注意を受けたよ。でも、可愛らしいお嬢さんじゃないか」

ご令嬢側からは話は出ていないのかもしれない。
「お嬢さんからは何も聞いてないですか?」

「え?何かしたのか?」

「嫌みをたっぷり言って怒らせたので、あとの対応頼みます」
と言うと、部長の顔が蒼白に変っていく、自業自得だ。



帰りに麻衣のマンションに行ってみるが、電気のメーターはゆったりとしか動いておらず、部屋の主は電気を使っていないということになる。

さすがに、連日部屋の前にいるとストーカーだと思われそうだ。
というか、これってストーカーになるのか?
ストーカーになる奴ってこんな風になっていくのか???

さすがに、会社に連絡するとかはしたくない。
ため息を一つついてから自分のマンションへ帰ると、ポストに宅配便の不在通知が入っていた。

差出人は麻衣だ。

QRコードから再送の手続きをして、冷蔵庫からビールを取り出して一気に流し込む。

紙にカフェのイメージを描いていく。
気持ちが乗らない為、なかなか形がつかめてこない。

紙の上にシャーペンを放り投げて腕組みをしてからゆっくりと目を瞑ったところに、インターフォンが鳴った。
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