幸せなひとときをきみに〜隠れ御曹司の不器用な溺愛〜
「それって、清太郎が私のことめちゃくちゃ好きって聞こえる」


「そ・・・」
そんなの当たり前だろと言おうとしたが、麻衣のスマホから怒濤のお知らせ音が響いた。


「すげぇメッセージが入ってるけど、もしかして婚活パーティでLINEのIDとか教えたのか?」

「パーティ会場では誰からも聞かれてないし」

ん??
「会場では?」

「だから、会場ではで誰ともマッチングしてないし、ただ偶然会社の子が参加してたから」

「そいつに教えたのか?」

「教えるわけないでしょ、祥子から心配するメッセージが大量」

なんだ・・・よかった。
ホッとしているとスマホ画面から顔を上げた麻衣と目が合った。


「なぁ、麻衣は俺が嫌いになったのか?」

少し泣きそうな表情で「嫌いになれたらこんなに辛くない」と呟いた。
そんな言葉を聞いたらたまらなくなる、麻衣をきつく抱きしめる。

「だったら、別れるとか言うなよ、俺のそばから離れていくなよ」
腕の中でかすかに頷いたのがわかった。
片手で麻衣を抱きしめたまま、「麻衣、結婚しよう」と言って左のポケットに入れっぱなしだった指輪を取り出した。


麻衣の前であぐらから正座に座り直し、指輪が麻衣に見えるようにリングケースを開けて
「一生、俺のそばにいて欲しい。結婚してください」

麻衣は綺麗な瞳に涙を溜めながら頷いた。

俺はケースから指輪を取り出すと麻衣の薬指に入れていくと指の付け根で収まった。

「ありがとう、嬉しいけど清太郎かなり無理したんじゃない?」

「たしかに多少は無理をしたが、こういうのは俺にとって麻衣は無理をしても一緒にいたい存在だということをわかって欲しい為の物だと思うから」

「清太郎はそんなに私が好きなの?」

麻衣の左手にキスをしてからそのまま抱き寄せると、おとなしく胸の中に収まった。

「好きだよ、めちゃくちゃ好きだよ」

「わかりづらい」そう言ってキスを仕掛けてきた。
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