幸せなひとときをきみに〜隠れ御曹司の不器用な溺愛〜
時折ぼんやりするわたしを祥子は何かと気遣ってくれた。

別れる時ってこんな感じでなにかを悟った感じになるんだ。

「麻衣大丈夫?今日、部屋にいこうか?」

「大丈夫、やりたいことあるし。なんか、部屋を片付けてサッパリしようと思って」

「そっか、じゃあなにかあったら電話するんだよ!深夜でもいいからね」

「うん」


祥子は目下遠距離恋愛中だ。
彼は外商部のエリートで台湾に出向中で来年本社に戻ったら式を挙げると言っていた。
長期の休みにはお互い行き来して、一度私も一緒について行った。もちろん、私はホテルに泊まったけど。九分や十分に連れて行ってもらい台北101で食事をした。
楽しかった。


彼が新しいプロジェクトをまかされることになって毎日が忙しそうで、私のわがままでデートや旅行なんかにさそうことが出来なくなってここ一年はどこにも行ってない。
去年の誕生日も彼の部屋でちょっと豪華なデリバリーを頼んだ。
プレゼントはプラチナ台のダイヤのピアス。
結局指輪をもらうことはなかった、一応誕生日とクリスマスにはブランドのバッグやネックレスを贈ってくれたけど、どんな高級品よりも露店に並んでいる1000円のものでも清太郎からの指輪が欲しかった。
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