あの春を、もう一度。
穏やかな春の日の光を受けて、ゆっくりと舞い散る桜の花。

その下では、卒業証書片手に語らうたくさんの人々。それを囲む後輩たち。

涙あり、笑顔あり、騒ぎ声ありで賑やかな空間となっている。

きっとみんな、大切な人との別れを惜しんでいるのだろう。


今日で、終わりだから。


寂しさを覚えながら進む足は、迷いなく1つの所に向かっていた。

扉の前で立ち止まり、頭上を仰ぐ。

静かな部室棟に似合わない、デカデカとした『写真部!』の文字をそっと指先でなぞる。
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