俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 カリッドは驚いてイアンを見上げた。優秀な使用人であると思っていたが、ここまで優秀だったとは。

「とりあえず彼女と芝居を観て、食事をして、そして贈り物の一つでも買ってからこちらに戻ってきてください」

「そこに、チューを入れてもいいのか? ベロカラ的な」

「あなた様がそこまでできるのであれば、どうぞ。ただし、モニカ殿に嫌われない程度にお願いします」

「そしたら、今夜は先っちょくらいなら許されるよな?」

 その問いに、イアンは「さあ」と首を傾げた。
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