俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「え? 可愛いからとか、その結婚したくないから、だから恋人のふりをするとか、じゃなくて?」

「すまん。それは口実だ。恋人のふりではなく、本当は俺の恋人になってもらいたい」

 驚いたモニカの涙は止まっていた。

「モニカ。もう一度きちんと言う。俺は、君のことが好きだ。どうか俺の恋人になってほしい」

「それは、新しいパワハラでしょうか」
 と尋ねるモニカの目は笑っていた。

「断じて違う。これは俺の本心だ」

「任務ではない?」

「違う」

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