俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 ここまで好き好きアピールをされても、嫌ではないことにモニカは気付いた。もちろんマルセルの魔導弓も魅力的ではあるが、それとは違う意味でカリッドの魅力に気づいてしまったのかもしれない。

「どうだろう。モニカ。俺の恋人になってほしい。君が嫌と言うのであれば、無理強いはしないし、俺もすっぱりと諦める」

 諦める。つまり、今までのような行為はもうしない、ということ。
 そう言われると寂しくなるから不思議だった。

「え、と。はい。よろしくお願いします」

「ほ、本当か?」
 こくんとモニカは小さく頷く。
「そ、そうか」
 嬉しさを隠せないカリッドの顔からは自然と笑みがこぼれてしまう。

「よし。続きは宿に戻ってからだ。とりあえず、食事に行こう」

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