俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
(どうしよう、団長が可愛い……)

「あの、変ですか?」
 モニカはもう一度尋ねた。できればその答えを彼の口から聞きたいと思っていたから。
 カリッドはとうとう両手でその顔を覆ってしまった。

「あの、リディ」
 モニカは彼の顔を見ようとして、その手首を掴む。と、逆に掴み返されてしまう。

「モ、モニカ。そ、そのような恰好をされたら、俺は、もう、その。いろいろと、我慢することができない」

 耳の後ろまで赤く染め上げたカリッドが、真面目な嘘偽り一つ無いような視線で見つめてきた。

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