俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「が、我慢? 何を我慢なさっていたのですか?」

「それを聞くのか? 俺は、君と、その、一つになりたいと思っている、のだが……」

 その言葉の意味をモニカは考える。男女が一つになる行為。ぶわっとモニカの身体の中を走っている血液が沸騰したような感覚に襲われた。

「え、と。リディは、その相手が私でもよろしいんですか?」

「むしろ、君でなければ俺は()たない」
 またカリッドから衝撃的な告白をされてしまった。
「今まで、こんな風に思えるような女性に出会ったことはない。むしろ、君が初めてだ」

「え? てことは、その、リディは今まで、他の女性とそういったことは?」

「無い」
 じっと、カリッドがモニカを見つめる。モニカもじっと、カリッドを見つめる。

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