俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 カリッドの言葉に合わせて、モニカは礼をする。

「モニカ・ルコティ、あぁ。リヴァージュの民の長の」
 と、前王妃が口にしたとき、カリッドはぎょっとしてモニカを見つめてしまった。

「はい。リヴァージュの長、アンドレイ・ルコティは、私の父です」

 その答えに、前王妃はまあまあと喜んでいる。
「まあ、カリッドの相手があなただったとは。こんなに嬉しいことはないわ、ね、あなた」
 と前国王夫妻は見つめ合って喜んでいる。もちろん、その話についていけないのが、当事者であるカリッドとモニカの二人。

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