俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
モニカは、カリッドが前国王の息子だったことを知らなかった。今の国王は知っているが、その国王の弟がカリッドであるということを知らなかった。騎士になるまであの田舎で暮らしていて、王宮の催し物にも参加したようなことのないモニカにとっては、ある一定の有名人は知ってはいるが、その一定以下の人物は知らないということ。だから、前国王に兄弟がいるかとか、そういうところは知らない。今の国王だって、何人兄弟で誰がどこにいるのかっていうのも知らない。
だから、カリッドのことだって知らなかった。
逆にカリッドからしたら、モニカがリヴァーシュの民の長の娘であることを知らなかった。何しろ彼女は平民枠で騎士団に入団している。そういった民の長の子息であれば、本来であれば特別枠だ。
「あら嫌だわ、そんなに二人で見つめ合って。こちらに来て、お話を聞かせてちょうだい」
嬉しそうに微笑んでいる前王妃に呼ばれてしまっては「こちら」に行くしかない。
だから、カリッドのことだって知らなかった。
逆にカリッドからしたら、モニカがリヴァーシュの民の長の娘であることを知らなかった。何しろ彼女は平民枠で騎士団に入団している。そういった民の長の子息であれば、本来であれば特別枠だ。
「あら嫌だわ、そんなに二人で見つめ合って。こちらに来て、お話を聞かせてちょうだい」
嬉しそうに微笑んでいる前王妃に呼ばれてしまっては「こちら」に行くしかない。