俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
0.こうやって罠は仕組まれた

1.

「カリッド様。身体も大人になる準備が整いましたので、本日より閨教育を行いたいと思います」
 自室でソファにゆったりと座りながら本を読んでいたカリッドは、そのような言葉をかけてきた彼の世話係、通称ばあやの顔を見上げてしまった。

「ねや、きょういく?」

「はい」
 ばあやはにっこりと笑ってカリッドのことを見つめている。
「これからカリッド様も、ご結婚をなさって、お子を望むことになるかと思います。そのお子を望むための教育です。カリッド様のお身体は、子を望めるように成長なされたのです」

 と言われても、十一歳となったカリッドであるが、なぜばあやがそう判断したのか理由がわからない。不思議そうに首を傾けるだけ。

「本日の夜から始まりますので」

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