俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「はい」
いつもカリッドの勉強の時間には衝立の向こうに護衛の騎士がいる。息を潜め存在感を消して、そこにいる。いくら講師であっても外部の人間だ。それにカリッドはこの国にとっても重要な存在となる人間である。彼に危害が加えられるようなことが起こったら、国民たちに与える影響というのも計り知れない。
これからどのような教育が始まるかよくわかっていないカリッドではあるが、いつものところにいつもの彼らがいるというその安心感だけが頼りだった。
この日は人間の身体について、を学んだ。男女の身体の違いについて。まして、赤ん坊はコウノトリが運んでくるわけでなく、母親のお腹で慈しまれ十月十日を経て生まれてくること。脳内がファンタジーだったこの当時のカリッドにとっては、それは人間の神秘とも言えるような新しい発見だった。
「それでは、続きはまた明日の夜」
講師のドーランは、妖艶に笑んでカリッドの部屋を後にする。カリッドは今日学んだことを誰かに話をしたくてうずうずとしていた。特に、母親には感謝の気持ちを伝えたいのと、自分が生まれてきたときの気持ちを聞いてみたいとさえ思っていた。
いつもカリッドの勉強の時間には衝立の向こうに護衛の騎士がいる。息を潜め存在感を消して、そこにいる。いくら講師であっても外部の人間だ。それにカリッドはこの国にとっても重要な存在となる人間である。彼に危害が加えられるようなことが起こったら、国民たちに与える影響というのも計り知れない。
これからどのような教育が始まるかよくわかっていないカリッドではあるが、いつものところにいつもの彼らがいるというその安心感だけが頼りだった。
この日は人間の身体について、を学んだ。男女の身体の違いについて。まして、赤ん坊はコウノトリが運んでくるわけでなく、母親のお腹で慈しまれ十月十日を経て生まれてくること。脳内がファンタジーだったこの当時のカリッドにとっては、それは人間の神秘とも言えるような新しい発見だった。
「それでは、続きはまた明日の夜」
講師のドーランは、妖艶に笑んでカリッドの部屋を後にする。カリッドは今日学んだことを誰かに話をしたくてうずうずとしていた。特に、母親には感謝の気持ちを伝えたいのと、自分が生まれてきたときの気持ちを聞いてみたいとさえ思っていた。