俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 ふと、荷物をまとめていた手をとめるモニカだが、今回の休暇理由は別なところにある。それのついでに両親へ久しぶりに顔を見せようと思っていたところだったので、そのついでを取りやめるか否かだ。だが、モニカの両親は「騎士を辞めて結婚しろ」というような人物だったろうか、ということも考えた。むしろ「結婚しなくていいから騎士を続けろ」と言うタイプの両親だったような気もしないでもない。

「モニカ。諦めて実家に帰りなよ。私が受けた洗礼を受けてくるが良い」

 あはははーと豪快に笑って、カナンは去っていった。
 再びモニカは荷物をごそごそと整理し始めたが、今回の休暇がカリッドと一部日程がかぶっていたとしても、どうやら怪しまれてはいないようだ、ということだけは安心した。
 団長であるカリッドの休暇中は、この騎士団を副団長であるジョージアが指揮を執ることになっているため、カリッドも休暇に向けて準備をしているらしい。
 誰かが抜けてもその穴が誰かが埋めることになっているこの第四騎士団は、やはり居心地がいい。

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