俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
さて、高級なお宿から外に出てきた二人であるが、モニカはこの後どこに連れていかれるのかはまったくわからなかった。カリッドによって拘束されている右手が不自由なのが少々不安になる。というのも、やはりモニカは騎士である。何かが起こった時に、自由にならない手というのは不安しかない。
「どうかしたのか?」
そんな彼女の不安をカリッドが嗅ぎ取ったのか、モニカを見下ろしてきた。
「はあ、まあ。慣れないので。こうやって手を拘束されてしまうと、万が一のときに機敏に反応できるのかということが不安になりまして、ですね」
「万が一ってどんなときを想定している?」
「そうですね。敵襲、とか?」
「敵ってなんだ?」
「えっと。賊とか?」
「どうかしたのか?」
そんな彼女の不安をカリッドが嗅ぎ取ったのか、モニカを見下ろしてきた。
「はあ、まあ。慣れないので。こうやって手を拘束されてしまうと、万が一のときに機敏に反応できるのかということが不安になりまして、ですね」
「万が一ってどんなときを想定している?」
「そうですね。敵襲、とか?」
「敵ってなんだ?」
「えっと。賊とか?」