俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 それを見届けたカリッドは、コホンと軽く咳払いをしてから。

「君に頼みたい任務とは」
 カリッドの真剣な眼差しにモニカもゴクリと唾を飲む。

「俺の恋人になってもらいたい」

「え」

 モニカは聞き間違えかと思った。

「団長、すいません。私にはよく理解ができませんでした」

「モニカ、君には俺の恋人のフリをしてほしい」

 モニカはゆっくりと口を開け、また閉じる。そしてまた開け、と水中でぱくぱくしている金魚のようだ。今にもエラ呼吸をし始めるのではないかと思えるくらい、ぱくぱくしている。さて、どうしたらよいか。

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