俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「モニカ」

「は、はひっ」
 あまりにも場違いなお店であるため、カリッドに名前を呼ばれただけで緊張してしまい、噛んでしまった。
 そんな彼女に柔らかい笑みを浮かべたカリッドは、繋いだ手を離さずに彼女をその店の奥へと連れていく。
 モニカは目が潰れるのではないかと思った。あまりにもキラキラと輝いているドレスが並んでいるからだ。

「こちらのデザインで間違いないでしょうか?」

「そうだ」

 とカリッドが答えている。

「では、奥様。こちらに」

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