俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「あ、はい。ありがとうございます」
 店員は自分の仕事に満足したようだ。肝心のカリッドは、じっとモニカから視線を離そうとはしない。

「え、と。だ……リディ。変ですか?」

「変ではない(それ以上、俺に聞くな。我慢ができなくなる)」

「そ、そうですか。良かったです」

「では、二日後。ここで着替えを頼む」
 カリッドは店員に向かって言葉を放った。

「承知しました」
 店員はにこやかな笑顔で答えた。

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