俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
モニカは唇を尖らせた。目の前には美味しそうな前菜と食前酒。カリッドの許可が出ないと食べられないような気がして、今は餌を目の前にしながらも「待て」を言われている犬のような気分だ。
「まあ、それは後でいい。それよりもモニカ、今、何か言いかけただろ?」
「あ、はい。えと」
何を言おうとしてたんだっけ、とモニカは必死で思い出そうとする。うーん、と眉根を寄せるそんな姿も、カリッドに言わせると「可愛い」になる。もちろんモニカはそれに気付いていない。
「ああ、そうそう。お金です」
「特別報酬は、魔導弓の予定だが。それ以外に現金報酬も欲しいのか?」
「いえ、報酬の方のお金ではありません。その、ドレス代とここの食事代と……」
「まあ、それは後でいい。それよりもモニカ、今、何か言いかけただろ?」
「あ、はい。えと」
何を言おうとしてたんだっけ、とモニカは必死で思い出そうとする。うーん、と眉根を寄せるそんな姿も、カリッドに言わせると「可愛い」になる。もちろんモニカはそれに気付いていない。
「ああ、そうそう。お金です」
「特別報酬は、魔導弓の予定だが。それ以外に現金報酬も欲しいのか?」
「いえ、報酬の方のお金ではありません。その、ドレス代とここの食事代と……」