俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「モニカ。今日は疲れたのではないか? 先に、風呂に入るか? 浴室はそこだが」

「あ、はい。そうですね。そうします。ありがとうございます」
 モニカがすっと立ち上がったので、カリッドは彼女を浴室まで案内した。

「うわー。すごいお風呂ですね。一人で入るには広すぎますね」
 浴室を覗き込んだ彼女の感想が、これまたカリッドを刺激した。

「モニカ。君が風呂に入っている間、俺はイアンの部屋で少し打ち合わせをしてくる。一時間後に戻るから、俺が出たらこの部屋に鍵をかけて風呂に入れ」

「はい、わかりました」

「それから、夜着などの着替えはそこにある」

「え、そんなものまで準備してくださったんですか。ありがとうございます」

< 54 / 177 >

この作品をシェア

pagetop