俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「イアン、俺はこの後どうしたらいいんだ?」

 そこでカリッドは顔をあげたが、非常に情けない表情をしていた。顔中に「困ってます」と書かれているような表情。

「この後、というのはどの後のことでしょうか。とにかくカリッド様はモニカ殿に恋人役を頼まれた。ですから、恋人らしい振舞をされればよろしいのではないでしょうか?」

「その。恋人役、というのはどこまで許されるのだ?」

「は?」
 思わずイアンの眼鏡がずれそうになった。慌てて、眼鏡を押し上げて、いつもの位置へと掛け直す。
「えと、どこまで、というのは?」

「先ほど、モニカの胸に触れてしまった。柔らかくて、ふんわふんわで、とにかくたまらなかった」
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