俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「新手のパワハラ」
 信頼おける者とカリッドが口にしたにも関わらず、すぐにパワハラと結びつけるモニカにとって、やはりカリッドの恋人役というのは耐えがたいものなのだろうか。

「ではない。立派な任務だ」

「任務、ですか」

「そうだ。今後、俺がこのまま団長を続けるか続けないか、その運命が君にかかっている。だから、任務だ」

 うーん、とモニカは再び唸った。
 仮に、カリッドがこの第四騎士団の団長を辞めたとしたらどうなるか、ということを考え始めた。
 カリッドが第四騎士団の団長を務めてから一年が過ぎようとしているところだ。それから少しずつ、女性騎士の地位も向上したようにも思える。というのも、モニカにとって非常に仕事がしやすい環境になったからだ。
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