俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 さて、イアンの部屋へと向かったカリッドであるが。

「おい、イアン。俺だ」

「おはようございます、カリッド様。朝からどうされましたか?」

「どうもこうもない」
 カリッドはずかずかと部屋に入ると、どさっとソファへ腰をおろした。

「ああー」
 と言いながら、カリッドは両手で顔を覆う。
 またこの人は何かやらかしたのか、とイアンは思いながら、お茶の準備をする。それを彼の前に置きながら。

「どうされたのですか?」
 カリッドがここにやって来た、ということはイアンに話を聞いてもらいたいからだ。

「モニカがめちゃくちゃ可愛い」

< 95 / 177 >

この作品をシェア

pagetop