俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「ええ、あなた様がモニカ殿をそう思われていることは存じております。それで、どこまで進まれたのですか? まさか、先っちょを挿れられたのですか」

「んなわけあるかっ」
 全否定されてしまった。

「では、昨夜は。横になって目を閉じて、そのまま眠りにつくことができたのですね?」

「いや。ま、ああ、そうかもしれない。いや、実はだな……」
 カリッドは自慢したくて仕方なかった。彼女のふんわふんわな胸に包まれて眠りにつけた、ということを。だがそのとき、彼女が口にした「ノーマン」という名が気になったということを。

「つまり、そのノーマンという男は、彼女の胸に抱かれて寝るような関係のようだ」
 はあ、とカリッドはため息をついた。

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