狂った愛はどんな色?
『初めまして、イラストレーターをしているなつきと言います。ルビーさんの歌声がとても素敵で、ぜひイラストを描かせてほしいのですが、どうでしょうか?』

大好きなイラストレーターから声をかけられて、断らない人などいないだろう。真希は喜びと緊張でいっぱいになりながら、何とか『よろしくお願いします』と送る。そして、イラストのことを話すため、外で会うことになったのだが、そこに現れたのが夏希だった。

「えっ、深沢くん?」

「緑川さん?」

二人は同じ教授の講義を受けている。夏希はいつもスケッチブックに暇があれば絵を描いていたため、話したことは一度もなかったものの、スケッチブックをいつも持っている人という認識は真希の中にあった。

「ひょっとして、深沢くんがイラストレーターのなつきさん?」

「うん、そうだよ。じゃあ緑川さんが歌い手ルビーさん?」

予想外の人物に真希は驚いたものの、夏希の持っているスケッチブックを見せてもらうと、確かにそこに描かれている絵は、ネットで見たなつきの絵と同じだ。
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