2/3片思い
12章 初デート
「ねーねー、おかしくない?」

出発までまだ3時間もあるのに、もう準備万端。

服も着替えて、バッグの中味もチェックして、髪型も整えた。

あとはグロスだけ。

「ナツミ、もう少し落ち着きなさい。そんなに早く服着たら出発までに汚れちゃうわよ。」

お母さんは、言いながら吹き出した。

「もー。笑わないでよ!しょうがないじゃん、初デートなんだからさ!」

声に力が入る。

自分を客観的に観たら、かなり滑稽だ。

松川くんに会うまでに、もう少し落ち着かないとね。

そうそう、金曜の帰り。

松川くんが恥ずかしそうに差し出した紙切れ。

そこには、松川くんの携帯番号が書いてあった。

『一応何かあった時用に』

だって!

その夜即効メールしたっての。

メールを打つ指が振るえたよ。

その日から絶対手放せない携帯。

今も、しっかりパンツのポッケに入れてあるんだ。
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