狂った隣人たち
「こんな状況で悠長に夕飯かよ」


祐次の嫌味が聞こえている様子もない。


3人は黙々とコロッケをほお張り、スープを飲んでいる。


「じきに警察が来る。自分たちがやったことをちゃんと説明しなきゃいけない」


それでも誰も反応を示さない。


祐次は歯軋りを抑えていつもの自分の席に座った。


今何を言っても響かないのなら、警察が来てから説明してもらうしかない。


茶碗に手を伸ばして端で白米を掴んだそのときだった。


白米に混じって無数の黒い虫が入っていることに気がつき、祐次は悲鳴を上げて立ち上がっていた。


その拍子に茶碗が落下し、音を立てて割れる。


食事に視線を戻すとスープの中にはウジのような虫が浮かんでいるし、コロッケからは虫の足がはみ出している。


これ全部虫が入ってる!!


驚愕のあまり声も出せなかった。


片手で口を塞いで、食事を続ける3人を見つめることしかできない。


「兄ちゃん、ちゃんと食べないとダメだよ」


弘人はそう言うと落下した茶碗の横に膝をついた。


「おい、やめろよ」


咄嗟に止めにはいるが、無駄だった。


弘人は茶碗の破片ごと散らばったご飯を口に入れ始めたのだ。
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