狂った隣人たち
それから2人はベンチに座り、祐次はゆっくりと父親と弘人のことを説明した。


「一度家に戻ったほうがいいね。祐次のお父さんの出血が気になるから」


あんな異常行動を起こしてしまった父親の話を聞いても、くるみは驚いた表情はすれどもパニックになったりしていなかった。


来るべきときが近づいてきている。


そんな気持ちだ。


「あぁ、そうだな」


祐次は話すことで気持ちが落ち着いてきたようで、手の甲で涙を強くぬぐった。


「歩ける?」


「あぁ、大丈夫だ」


暗い街の中2人が寄り添って歩き出す。


くるみはスマホを操作して救急車を手配した。


「一度私の家に行ってもいい?」


「え?」


「ちゃんと、話しておきたいことがあるの」


くるみの目は真剣そのものだった。
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