狂った隣人たち
母親は夢占いの知識を伝える。


でも、それだと今の祐次の状況からはかけ離れている。


「夢占いじゃなくて、もしかして実際に暮らしていた家族の夢を見ているんじゃないの?」


突っぱねるような声色で言ったのは聡子だった。


「暮らしていた家族?」


くるみが聞き返す。


「そう。その家族、なにか特徴はなかった?」


聡子からの質問に祐次は少し緊張したように居住まいを正した。


「そう言えば上の子供は俺と同い年くらいに見えたんですけど、幼児向けの教科書を使っていました」


「幼児向け?」


聡子は一瞬眉間にシワを寄せる。


「おそらく障害があったんだとおもいます」


上の兄に障害。
< 133 / 192 >

この作品をシェア

pagetop