狂った隣人たち
くるみは今まで隣で暮らしてきた人たちのことを思い出してみたが、障害児を育てている家庭はなかったはずだ。


そしてそのことに気がついたのはくるみだけじゃなかった。


両親も聡子も気がついたようで、なにか深く考え込んでいる様子だ。


「もしかしたらその家族が、隣の家で初めて暮らし始めた家族なのかもしれない」


父親が低い声で言った。


いつごろ隣の家が建ったのかわからないけれど、そうかもしれないとくるみもうなづく。


その家族に何かが起こったから、あの家に暮らす人たちには次々とよくないことが降りかかる。


祐次だけ正気を保っているのも、妙な夢を見るのも、なにか意味があるのかもしれない。


「調べてみようよ」


くるみは祐次へ向けてそう言ったのだった。
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