狂った隣人たち
こんな自分をとめてくれて食事まで準備してくれただけでも嬉しいのに、くるみの母親が作る料理はどれもおいしかった。


朝食を食べながら涙ぐんでしまいそうになるのをグッと押し殺して、丁寧に「ご馳走様でした」と、手を合わせる。


「それじゃ、私たちは図書館に行ってくるから」


玄関から出ようとした2人を父親が止めた。


「無茶なことはするなよ。あまり突っ走ると怪我をする」


「うん。わかった」


くるみは元気良くうなづく。


わかっているのかいないのか、よくわからない返事だ。


かわりに祐次が真剣な視線を父親へ向けた。


「くるみに無茶はさせません。いざとなれば俺が」


そう言うと、頭を下げてくるみの家を後にしたのだった。
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