狂った隣人たち
「あぁ。あの家での事件はちょっと調べただけで次々と出てくるな」


祐次は少し疲れた様子でため息を吐き出した。


実際にあの家に暮らしている祐次からすれば、今回の調べ物は精神的にきついものがあるだろう。


くるみはうなづき、そして質問を元に戻した。


「あの家はね何度も取り壊しが決まってたんだよ」


「え?」


くるみの言葉に祐次は目を丸くしている。


「だってこれだけ立て続けに事件が起こるんだもん。普通、継続していられないよね?」


「まぁたしかにそうだよな。ってことは……」


なにか感じるものがあったのか、祐次の表情が歪んだ。


きっと、くるみが今から言おうとしていることと、祐次が今考えていることは同じようなことだと思う。


「ベタなんだけどね。取り壊し作業中に何人かの作業員さんが亡くなったの」


「やっぱり」


祐次の表情が更に歪む。


「でも、それだけなら人に貸したりせずに廃墟にすればよかったでしょう? そうすれば、もう誰もおかしくなったりはしないんだから」


「確かに、そうだな」


「だけどそれもできなかった。借り手を募集するのをやめたとたんに、大家さんの奥さんが亡くなったんだって。これもきっとこの家のせいだって考えたみたいで、今でも借り手を探し続けなきゃいけなくなったみたい」
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