狂った隣人たち
そのひとつを確認してみると《江澤の長男が家族全員を殺して逃げたのか?》というショッキングな見出しの記事にぶつかった。


信憑性のある記事がどうか見極める単にまずは読んでみないといけない。


《○月×日の正午頃、江澤家から大きな声が聞こえてきたことで近隣住民が通報。


その後家の中が調べられて、家族3人の遺体が発見された。


父親の江沢雄介さん(39歳)母親の江澤亜里沙さん(35歳)次男の江澤孝司さん(15歳)と判明している。


しかし一家は4人家族で、上に高校2年生の兄がいるはずだった。


兄、和宏さんの姿は家になく、事件に関与していると見られている。


しかし和宏さんには知的障害があったらしく、仮に事件を起こして逃走していたとしても、すぐに捕まると思われていた》


それが、予想外に和宏の姿を見つけることは困難を極めたようで、現在まで発見されていないらしい。


「知的障害って、祐次の見た夢に出てきた人なんじゃ?」


「そうかもしれない。きっとこの和宏ってやつだ!」


祐次は食い入るようにして画面を見つめた。


それからも和宏について調べて見たけれど『逃走犯』や『殺人鬼』という憶測ばかりで、実際に和宏がどうなったのかはわからずじまいだということが見えてきた。
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