狂った隣人たち
驚いて父親を見ると、さっきまで普通にしていたのに、今はボロボロと涙を流していた。


父親は包丁の柄を握り締めると勢い良く引き抜いた。


同時にひどい痛みが体を駆け抜けて、わき腹に暖かな感覚があった。


ボトボトと血が流れ落ちていき、座っていることも困難になった和宏は床に横になった。


それはとてもゆっくりとした動作で、眠りにつくときと同じようだった。


横倒しになった和宏の胸をもう1度包丁で突き刺すと、両親は天井乗の梁に2本のロープをくくりつけた。


その先は丸く輪になっている


ソファの上で爪先立ちになり、ロープの輪に首を通したのだった。
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