狂った隣人たち
☆☆☆

不安な気持ちを抱えたまま朝ごはん兼用の昼ご飯を食べたくるみは再び自室へ戻ってきていた。


読みかけの漫画を手にするけれど、隣の家の様子が気になって集中できない。


同じページを何度も読み直したあと、観念したように本を置いた。


窓辺に近づいてカーテンを開ける。


路地へ視線を向けて見ると、もう外には引越し作業員の姿は見えなかった。


きっと荷物はすべて運び込んで、今度は梱包を解く作業に取り掛かっているのだろう。


窓を開けてみると隣の家から人の話声が聞こえてくる。


なにを言っているのかまでは聞き取れないけれど、忙しそうに歩き回る音と楽しそうな笑い声。


引っ越してきたばかりだから夢や希望に満ち溢れているのだろう。


その家ではつい一ヶ月前に殺人事件が起こったんですよ。


そう言いたい気持ちを喉の奥に押し込めた。


声をジッと聞いていると覗き見をしているような気分になってきて、くるみは小さく息を吐き出した。


妙な詮索はやめよう。


家族構成は気になるけれど、自分には関係ないことだ。


そう思って窓を閉めようとしたときだった。


向かい側の部屋のドアが開いたのが目の端で見えて、思わず動きを止めてしまった。


つい、そちらへ視線を向けてしまう。
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