狂った隣人たち
体が大きくて乱暴な男子は毎日のように女子をいじめて笑っていた。


その日のターゲットは不運なことにくるみだったのだ。


男子はくるみのお下げを掴んで引っ張る。


髪の毛を引っ張られた痛みでくるみの顔はゆがみ、涙がこぼれだしてきた。


「やめてよやめてよ！」


必死に抵抗しても手の力を緩めてくれない。


くるみが泣けば更に面白がってイジメてくる。


周りの子たちは自分の遊びに夢中で気がつかなかった。


そんな時に声をかけてくれた子がいたのだ。


「やめろよ！！」


片手にヒーローの人形を握り締めてそう言ったのは、大神くんだ。


「なんだよお前」


男子はくるみのお下げから手を離して大神くんに向き直った。


身長も体重も随分と違う２人だ。


いくら大神くんの正義感が強くても、勝てる相手じゃない。


それなのに大神くんはくるみの前に立ち、男子と対峙したのだ。


そしてくるみへ向けて「もう大丈夫だからね」と、微笑んだのだ。


その大神くん。


大神祐次くんが今目の前にいる。
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