狂った隣人たち
☆☆☆

翌日、くるみは大きな欠伸をしながら2年A組に足を踏み入れた。


その途端耳に入ってくるのは昨日この小さな町で起こった殺人事件だった。


今朝の全国版のニュースでも伝えられていたから、もうあの事件を知らない生徒はいない様子だ。


くるみは胸の中が嫌な感じになりながら、自分の席へと向かった。


ちょうどクラスの真ん中の席で、妙に目立ってしまうこともあってくるみはこの席があまり好きではなかった。


「くるみ! おはよう」


元気に声をかけてきたのはクラスメートの安部リオだ。


大人しそうなくるみとは正反対で、よく日焼けしてショートカットのリオは快活そうな少女に見える。


この2人が知りあったのは高校に入学してからだった。


1年生の頃も同じクラスになり、1人で読書をしていてくるみを見かねでリオが話しかけたのだった。


くるみからすれば読書をするのは本当に好きな趣味だからであって、友人が少ないからではなかった。


それでも友人の多いリオが話しかけてくれた嬉しくて、すぐに仲良くなったのだ。


今では休日にもよく一緒に遊びに行く関係になっていた。


「おはようリオ」


相変わらず元気がリオを見てくるみは眩しそうに目を細めた。
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