狂った隣人たち
☆☆☆
夜になると大神家の人たちがもう1度ちゃんと挨拶をしに来た。
借家だと引越し挨拶もあまりしない人たちが多い中、大神家の人たちは律儀にお菓子を持ってきてくれた。
「ご丁寧にありがとうございます」
お辞儀をしながら差し出された箱を受け取る。
昔くるみが暮らしていた場所で有名な和菓子店の名前が印刷されている包装紙に、思わず唾を飲み込んでしまう。
味はほとんど忘れてしまっていたはずなのに、店名を見た瞬間そこの和菓子が大好きだったことを思い出した。
「こら、はしたない」
「ごめん」
母親に言われてうつむく。
祐次くんの前で恥ずかしいと思っていると、「そこの和菓子、すっげーうまいよな」と、声をかけてくれた。
顔を上げると祐次の爽やかな笑顔が見えた。
突然距離の近い言葉使いに少しビックリしたけれど、それが祐次なりの気遣いだとわかった。
それにくるみのことを思い出してくれたのかもしれない。
夜になると大神家の人たちがもう1度ちゃんと挨拶をしに来た。
借家だと引越し挨拶もあまりしない人たちが多い中、大神家の人たちは律儀にお菓子を持ってきてくれた。
「ご丁寧にありがとうございます」
お辞儀をしながら差し出された箱を受け取る。
昔くるみが暮らしていた場所で有名な和菓子店の名前が印刷されている包装紙に、思わず唾を飲み込んでしまう。
味はほとんど忘れてしまっていたはずなのに、店名を見た瞬間そこの和菓子が大好きだったことを思い出した。
「こら、はしたない」
「ごめん」
母親に言われてうつむく。
祐次くんの前で恥ずかしいと思っていると、「そこの和菓子、すっげーうまいよな」と、声をかけてくれた。
顔を上げると祐次の爽やかな笑顔が見えた。
突然距離の近い言葉使いに少しビックリしたけれど、それが祐次なりの気遣いだとわかった。
それにくるみのことを思い出してくれたのかもしれない。