狂った隣人たち
「う、うん。そうだよね」


「俺も好きなんだ。くるみちゃんも好きだったと思ってさ」


やっぱり思い出してくれていたんだ!


くるみは嬉しくて頬が熱くなるのを感じた。


「大神さん、夕飯はどうするんですか?」


くるみの隣からそう聞いたのは聡子だった。


「コンビニかスーパーのお弁当で済ませるつもりです。まだ片付けもできていないので」


祐次の父親からの答えに聡子が微笑んだのがわかった。


「じゃあうちで食べてもらえば? お母さん?」


「え、そうね。それもいいかもしれないわね」


2人の会話にギョッとして顔を向けると聡子と視線がぶつかった。


そして軽くウインクされる。


余計な気遣いをされているとわかったくるみは慌てて「で、でも大神さんにとって迷惑かもしれないじゃん!」と、声を上げる。


「片付けだってまだあるだろうし、のんびりするような時間なんて、ねぇ?」


祐次へ視線を向けると「俺たちは別に平気だよ。でも、本当に大丈夫なんですか?」と、くるみの母親へ視線を向けた。


「えぇ大丈夫よ。今日はカレーだし、少し多めに作っているから問題ないわ。弘人くん、カレーは好き?」


両親の後ろで興味なさそうに立っていた弘人がカレーという言葉に反応を示した。


「俺、カレー大好き!」


飛び跳ねて答える弘人を見て、万丈一致したのだった。
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