狂った隣人たち
☆☆☆

かくして大神家の家族がくるみの家の食卓についていた。


カレーとサラダといういたってシンプルな食卓が、人数が増えたことで一気に華やいで見えるから不思議だ。


くるみの隣には祐次が座っていて、下手をすればヒジが当たってしまいそうなくらいに近い。


「おばさんのカレーおいしいね」


「そ、そうかな?」


くるみにとっては食べなれたカレーだけれど、そう言われると嬉しい。


「そうなんですか。建て直しで引っ越すことになったんですね」


「はい。随分と長く暮らしていたので、出て行くのは少しつらかったですけど、すぐにいい物件が見つかったのでよかったです」


父親同士は引越し理由などで盛り上がっている。


聡子は聞くでもなしにその話を聞いているようだ。


「どうやって隣の物件を知ったんですか?」


話が途切れたタイミングで聡子が口を挟んだ。


一瞬すべての会話が途切れて、全員の視線が聡子へ向かう。


くるみたちの家族は一様に険しい表情になったが、祐次たちは気がついていない。
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