狂った隣人たち
「弟なんて生意気なだけだよ。まぁ今は引越しとか転校の影響が出てるんだろうけど」


弘人は相変わらず聡子へ向けてキザな言葉を投げかけている。


聡子はそれを微笑んで受け流す。


小学生にここまで気に入られたのは初めてじゃないだろうか。


「祐次くんは電車で通うの?」


「いや、俺も編入することにしたんだ。第一高校って知ってる?」


その高校名にくるみは目を見開いた。


「それ、私が通ってる高校だよ!」


「え、まじで? こんな偶然ってある?」


祐次は驚きで目を丸くし、2人して声をあげて笑った。


隣に引っ越してくるだけでなく、学校まで同じなんて。


ここまでくると信じてもいない運命を信じてみたくなってしまう。


「じゃあさ、明日から一緒に登校してもいいかな? 実はまだ道に迷いそうで不安だったんだ」


祐次からの申し出にまた心臓がドキドキしはじめた。


だけど断る理由なんてない。


くるみは「いいよ」と、うなづいたのだった。
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