狂った隣人たち
転校生
「今日はやけに早いのね」


翌朝、着替えを済ませてリビングへ降りてきたくるみを見てテレビニュースを見ていた聡子が言った。


「うん、まぁね」


くるみは曖昧に返事をしてキッチンへ視線を向ける。


母親が朝のスクランブルエッグを作ってくれているところだった。


「祐次くんが迎えに来るから?」


「そんなんじゃないよ」


否定しながらも気持ちは昨日からずっと浮き足立っている状態だ。


成長してぐっと大人っぽくなった祐次に惹かれている自分がいる。


幼稚園のときだって何度も助けてくれた、ヒーローだった祐次はくるみにとってとても特別な存在だった。


だから窓越しに見ただけで祐次だと思い出すことができたのだ。


「ご飯できたわよ」


母親の声を聞いてくるみと聡子はキッチンへと向かう。


その道中「本当に好きなら、うまくやりなよ」と、ひじてつつかれたのだった。
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