狂った隣人たち
それで気分がほぐれた2人は他愛もない会話を続け、気がついたら学校は目の前だった。


「じゃ、俺職員室だから」


「うん。またね」


祐次を職員室まで案内してくるみは自分の教室へと向かう。


A組の教室へ入ったところで、祐次が何組になるのか聞いていなかったことを思い出した。


思いのほか会話がはずんだことが嬉しくて、肝心なことは完全に聞き忘れてしまったのだ。


「もう、私のバカ」


自分の頭をコツンと叩いたとき、リオが駆け寄ってきた。


「ねぇねぇくるみ!」


挨拶も抜きで肩を痛いほどにたたかれる。


「ちょっと、なによ」


行く手をさえぎられてくるみは一瞬眉間にシワを寄せる。


重たいカバンは早く机に置いてしまいたいのだ。


「今日転入生が来るって知ってる!?」


目をキラキラと輝かせて質問してくるリオにくるみは心臓がドキッとした。


もしかして一緒に登校している姿をリオにも見られたんだろうか?


そう思っていると「他のクラスの子がめっちゃイケメンを見たって言ってたよ!」と、興奮気味に言葉を続けた。


とりあえずリオには見られていなかったようで胸を撫で下ろした。


好奇心旺盛なリオのことだ、見られていたら1時間くらいはどこかに拘束されて、話を聞きだされそうだ。
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