狂った隣人たち
「へ、へぇそうなんだ」


あまり興味のないそぶりをしてリオの横をすり抜けて自分の席へ向かう。


ようやくカバンを下ろすことができて、くるみは肩をぐるぐると回した。


「どんなイケメンなんだろうねぇ?」


リオはすでに夢見心地だ。


そんなリオを見てはたと気がついたことがあった。


祐次は他の子からみてもカッコイイみたいだ。


もしかして転入初日からすごい人気になるんじゃ?


そう思うと胸騒ぎがした。


いくら幼稚園時代を一緒にすごしていても、いくらお隣さんでも、くるみのことなんてすぐに眼中からなくなってしまうんじゃないか?


そんな不安がよぎる。


と、同時にくるみは強く左右に首を振っていた。


別に、祐次が人気になろうが彼女ができようが自分には関係ないはずだと思い直す。


これじゃまるで祐次に片思いしているみたいだ。


気恥ずかしくなって、くるみはうつむいて教科書やノートを机に入れ始めたのだった。
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