狂った隣人たち
☆☆☆

ホームルームが始まった瞬間Ａ組の教室はざわめいていた。


教卓には先生が立ち、その横には気恥ずかしそうに立っている祐次がいた。


このクラスだったんだ……。


祐次の姿を直視することができずに視線を外してしまう。


「大神祐次です。よろしくお願いします」


祐次が優しげな声で挨拶をすると女子たちから黄色い悲鳴が聞こえてくる。


その瞬間くるみの胸にはチクリと刺さるものがあった。


祐次が人気になるかもしれないと思っていたし、でもそれは自分には関係がないと思っていた。


それなのにいざその現実を突きつけられると胸が痛く感じてしまう。


「大神くんの席は一番後ろになります」


先生に言われて祐次が窓際の一番後ろの席に視線を向ける。


しかし、動こうとしなかった。


「先生、俺津田さんの隣がいいです」


突然の言葉にくるみの思考回路は止まった。


他の生徒たちがいっせいにくるみへ視線を向ける。


「え？」


先生も戸惑いがちに祐次を見つめた。


「俺、幼稚園時代津田さんと一緒だったんです。引っ越してきて家も隣になったので、津田さんの隣ならいろいろ遠慮がいらないっていうか」


言いながら祐次は頭をかいた。
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