狂った隣人たち
しかし、祐次の甘えん坊のような攻撃はそれだけじゃ収まらなかった。


昼休憩に入ってリオと2人でお弁当を食べる準備をしていると、祐次が近づいてきたのだ。


「俺も混ぜてくれない?」


そう言った手には青いお弁当袋が握られている。


「え、でも祐次もう男友達できたよね?」


女子たちに囲まれていることが恥ずかしいから自分にくっついてくるのだと考えたくるみは、そう声をかけた。


昼休憩になるまでに祐次は自分から積極的に男子に声をかけていた。


気さくな雰囲気と人懐っこい笑顔で、休憩時間に会話できる生徒が何人かできた様子だったのに。


「あんまり女子たちが近づいてくるからだよ」


祐次がくるみとリオにしか聞こえない声で言う。


男子たちに声をかけたのは女子を牽制してのことだったようだ。


そうとわかるとなんだか可愛そうになってくる。


カッコイイというのも考えものみたいだ。


「いいじゃんくるみ、私も大神くんとおしゃべりしてみたいしさ」


リオがそう言って空いている席を祐次に勧めた。


祐次は微笑んでそこに座り、机にお弁当箱を置く。


「リオがそう言うなら、いいけれど……」


本当はこうして祐次と一緒にお弁当を食べられることが嬉しかったが、くるみは必死でそれを隠していたのだった。
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