狂った隣人たち
リオはくるみの机に両手をついて身を乗り出してきた。


「悲鳴って、男の? 女の?」


「たぶん、女かな? でも鳥の鳴き声だったかもしれないし、わからないよ」


「そっか、そうなんだぁ」


「それに、あの家で殺人があったのは2度目だし」


どうにかリオの関心を他へそらそうとしたのに、つい口をついて出てきてしまった。


『あの家で殺人が起こったのは2度目だからたいしたことじゃない』


なんて、好奇心をくすぐるいい材料だ。


くるみが失言してしまったと顔をしかめている中、リオは更に身を乗り出してきた。


もう、ほとんど腹ばいで机の上に乗ってしまっている状態だ。


こうなるとリオを鎮めることは難しい。


1年以上の付き合いがあるくるみはすでにそれを知っていた。


「それどういうこと? 前にも同じ家で殺人事件があったの? 詳しく聞かせてよ!」


次から次へと質問を投げかけられて目が白黒なってしまう。


「わかった、わかったから落ち着いて」


机から降りるように言うとリオは目をギラギラと輝かせたまま、リオの横へと移動してきた。


「私が引っ越してきたのは今から12年前の、5歳のころなの。その時には別の人が隣の家に暮らしてた」


くるみは自分の記憶をたどりながら説明をした。


幼かったし記憶は曖昧だけれど、その時期に引っ越してきたことは確実だ。


家に戻れば引越し祝いの写真も出てくる。

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